歯石を取ったら歯と歯の間に隙間ができた?

こんにちは。月島パトリア歯科です。
今回は、歯石除去のあとに患者さんから時々いただく質問についてお話しします。
「先生、歯石を取ったら歯と歯の間に隙間ができちゃった!」
さらに、こんなことを言われることもあります。
「この隙間、何かで埋めてもらえませんか?」
お気持ちはよくわかります。
食べ物が挟まりそうですし、見た目も気になるかもしれません。
しかし、ここで知っていただきたいことがあります。
歯と歯の間には、もともと空間が存在するのです。
健康な状態では、その空間の多くは歯ぐき(歯間乳頭)で満たされています。
つまり、歯と歯が根元までぴったり密着しているわけではありません。
■ 隙間が歯石で埋まっていたら最高?
歯と歯の間に歯石がびっしり付着している患者さんがいらっしゃいます。
一見すると、隙間が埋まっているように見えます。
「隙間がなくていいじゃない!」
そう思われるかもしれません。
しかし、実際はまったく逆です。
隙間が歯石で埋まっている状態は、決して喜ばしいことではありません。
むしろ、最低です!!
なぜでしょうか?
そもそも歯石とは何なのか。
歯の表面に付着する細菌の塊を、歯垢(プラーク)と呼びます。
この歯垢が唾液などに含まれるミネラルによって石灰化し、硬くなったものが歯石です。
つまり、歯石は細菌の塊だったものが固まった状態です。
しかも、歯石の表面にはさらに細菌が付着しやすく、歯垢がたまりやすくなります。
■ 歯ぐきは細菌と戦っている!
歯石の周囲に細菌が増えると、体はそれらを排除しようと免疫反応を起こします。
これが歯ぐきの炎症につながります。
歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きのときに出血したりするのは、そのサインです。
ここで問題なのは、炎症が歯ぐきだけで終わるとは限らないこと。
細菌による刺激と、それに対する体の免疫反応が長期間続くと、歯周病が進行してしまうことがあります。
そして歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨という骨が失われていきます。
歯を支える骨が溶けてしまうのです。
骨が失われると、歯ぐきも下がり、歯と歯の間の隙間が目立つようになることがあります。
一度失われた歯槽骨は、歯石を取っただけで簡単に元に戻るものではありません。
だからこそ、歯石をためないことが大切なのです。
■ 歯石を取ったから隙間ができたわけではありません
ここが今回、最もお伝えしたいところです。
歯石を除去したあとに隙間が目立つようになるのは、歯石が占めていた空間が見えるようになったり、炎症で腫れていた歯ぐきが健康な状態に戻ったりするためです。
また、すでに歯周病によって骨や歯ぐきが失われている場合もあります。
つまり、
歯石を取ったことが原因で、健康な歯ぐきや骨が失われたわけではないのです。
むしろ、歯石を放置することのほうが問題です。
■ では、隙間を何かで埋めればいい?
患者さんから「隙間を埋めてほしい」と相談されることがあります。
もちろん、見た目や食べ物の詰まりやすさなどによっては、歯の形を修正する治療が適切な場合もあります。
しかし、清掃が必要な部分を、ただ材料で埋めてしまえばよいというものではありません。
不適切に埋めてしまうと、かえって汚れがたまりやすくなり、歯ぐきの炎症を引き起こす原因にもなります。
大切なのは、歯と歯の間を清潔に保てる状態にすることです。
■ 隙間を大きくしたくなければ、1日1回!
では、歯と歯の間の健康を守るためにはどうすればよいのでしょうか。
まず大切なのは、毎日の歯間清掃です。
1日1回、歯と歯の間の汚れを取り除くこと。
デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯ブラシが届きにくい部分を清掃しましょう。
ここで一つ、覚えておいていただきたいことがあります。
歯ブラシだけでは、歯と歯が接する部分の汚れを十分に取り除くことはできません。
どれだけ丁寧に磨いても、歯ブラシだけでは届きにくい場所があるのです。
だからこそ、フロスや歯間ブラシが必要になります。
ただし、歯間ブラシはサイズ選びが重要です。無理に太いものを挿入すると、歯ぐきを傷つけることがあります。
ご自身に合った清掃器具を使いましょう。
また、一度硬くなった歯石は、ご家庭での歯磨きでは取り除けません。歯科医院での除去が必要です。
歯周病が進行している場合には、専門的な治療や継続的な管理も必要になります。
■ 最後に
「歯石を取ったら隙間ができた」
そう感じたときは、歯石がなくなったことを残念に思うのではなく、これからその部分をどう守っていくかを考えていただきたいと思います。
歯と歯の間は、汚れがたまりやすく、歯周病が進行しやすい場所の一つです。
隙間を大きくしたくなければ、まずは隙間をきれいにすること。
毎日たった1回の歯間清掃。
その積み重ねが、将来の歯と歯ぐきを守ることにつながります。
隙間を守りたければ、隙間を磨く!
月島パトリア歯科
嶋田泰次郎